07) スクリーニング②
「血液が逆流しているかもしれません」
という女性医師の言葉に全身の血の気が引いた。
言葉が浮かんできたわけではなく、何も考えられなかった。
「体が小さい」とか、「体重が少ないかも」とかいろいろ言われたが、この時だけは強烈
パンチを喰らったかのようなダメージを受けた。
とりあえず、この日はこれ以上のことができるわけでもなく、次回改めて再検査となった。
その時には、心臓専門の医師に診てもらうということ。その点については、さすが医大
という感じでしたが、憂鬱な日々をまた過ごすことになった。
それから数日たって、再検査の日がやってきた。
私は緊張のピークだった。妻も緊張していただろう。
心臓専門の医師はほとんどしゃべることもなく、黙々とエコー検査をしている。
私は検査室の隅でただただ「問題ありません」と言ってくれと祈るだけだった。
30分ほど何度も何度も検査している医師が、「ふ~」と一息ついて、特別な言葉を
かけるわけでもなく、検査が終了した。
妻がエコー検査台から降りて、2人で改めて椅子に座り直したところで、医師が口を
開いた。
「異常ありませんよ」
これには全身の毛穴が開いたような感じを受けた。
「あ~、神様はいるんだ~!!」
と心から思った。
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